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雨水再利用や雨水貯留タンクシステムのお話
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 自宅で雨水再利用を行う程度であれば、100~200L程度の簡単な貯留タンクを設置するだけですみます。しかし、マンションやビル、施設などの大きな建物で雨水再利用を行うためには、設計段階から雨水貯留タンクなどへの配慮が必要になってきます。

 雨水を集めるためには、汚れの負荷が一番少ない建物の屋根から行うのが一般的です。降り始めた時の雨の中には、大気中や屋根に降り積もったの汚れがかなり含まれているので、これを除去するために雨水の沈殿槽を設置して雨水の汚れを取り除き、きれいな雨水だけを集めて再利用できるようにします。初期雨水を機械的にカットするのも有効です。雨水の貯留では、砂などは基本的に沈殿されるので、それほど水質に影響ありませんが、良好な雨水を貯留する場合には、汚れの度合いが比較的高い降り始めの雨を集めない等の工夫が必要となってきます。ただし、これは、貯留した雨水をトイレや洗濯などに中水扱いで使用する場合に必要になることであって、雨水を植木への散水や打ち水、洗車等にしか利用しない場合には、ここまでの設備は必要としません。そのまま雨水を貯留しても十分再利用できます。

 雨水の再利用のための沈殿処理には少々時間がかかるため、ある程度の容量の雨水沈殿槽が必要です。雨水沈殿槽の容量は、雨水再利用タンクの貯留槽の10分の1程度の容量が一般的な目安にします。雨水貯留層が2t程度であれば、200L程度の雨水沈殿槽が必要になります。かつて、阪神淡路大震災や新潟・中越地震の際には、水道管が破裂などの壊滅的な被害を受け、飲料水はもちろんのこと、トイレの流し水や洗濯用水等の生活用水の確保が困難となりました。これに対して、東京の墨田区では、こういった災害用の生活用水を沈殿処理された雨水で賄おうとする取組みを進めています。

 マンションなど集合住宅を建設するときに、雨水の再利用のために必要となる雨水貯留タンクの貯留量は、「入居者数×50リットル×3日分が最低限確保したい貯留量」となります。また、既存市街地の再開発事業などによって大規模な建築物を造ると、一般的に雨水の流出係数が高くなり、下水道への負担がかなり増加します。このため、一定以上の規模の施設を建築する際には、下水道担当部局において建物地下への雨水一時貯留の設置を指導している自治体もあります。

 これ以外に、雨水再利用貯留タンクを設置する際に留意すべき点としては次のようなことを挙げることができます。
・雨水再利用貯留タンクの満水時対策として、オーバーフロー管を設置する必要がありますが、豪雨時には下水から逆流してくるケースがあります。このため、下水道と排水管のレベルの位置関係をきちんと確認することや、逆流防止弁等を設置しておきます。
・雨水再利用貯留タンクの水位が一定以下になった場合には、ボールタップや電極棒により自動的に上水を給水するしくみが必要になります。雨水を有効に再利用するためには補給する水位は低めに設定します。
・再利用している雨水は、沈殿槽を設けてるとはいえ飲料水には不適です。このため、誤飲や上水とのクロスコネクションを防ぐため、配管や利用先への「雨水再利用」の表示、鍵付散水栓の設置等の配慮が必要です。
 

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